出産のお金に関する基礎知識
【全員】出産育児一時金
出産育児一時金とは、加入の健康保険組合(国保又は社保)から出産の際に支払われる一時金です。
金額は、全国一律で子供1人につき42万円。
健康保険の適応がないため、高額となってしまう出産費用を補うために設けられている制度です。
ただし、出産費用は地域によってかなり格差があるため、都会では手出し部分が多くなる傾向にあります。
【全員】妊婦健診費用等の補助
妊婦健診費用等の補助とは、妊婦検診にかかる受診料を自治体が一部負担する制度です。
一般的には出産までに妊婦が病院を受診することが望ましいとされている14回程度の検診補助券が、各自治体から給付されます。
これを病院側に提出すると検診費用が一部差し引かれ、私たちの負担額を減らすことができます。
補助券は母子手帳を発行する時に役所で一緒に発行されます。
【社会保険】出産手当金
ママ自身が社会保険加入者である場合、出産手当金を受け取ることができます。
これはいわゆる産休中(出産予定日の42日前から産後56日までの98日間)に実際には仕事をしていなくても給与をもらえる制度です。
また出産手当金の受給中は、健康保険料の支払いを免除されることも大きなメリットです。
【社会保険】育児休業給付金
育児休業給付金とは、育休中に加入の社会保険から支給される給付金です。
これも出産手当金と同じくご自身が社会保険加入者である場合のみ受けることのできる制度です。
産休が明けた後、子供が小さくてすぐに職場復帰が難しい働くママたちのために、働いていない間も社会保険から給与を支払う制度で、最大で子供が2歳になるまでこの育休制度を利用することができます。
また出産手当金と同様、育休中の保険料は免除されます。
★産休・育休中にもらえる給与の詳しい計算方法について知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください★
[card id=”132″]出産後にお金が戻ってくるかも!?
高額療養費制度
まずはじめに、高額療養費制度とは、ひと月にかかった保険適応の医療費の合計金額が高額になり、一定金額(自己負担限度額) を超えた場合に、その超えた部分が戻ってくる制度です。
妊娠・出産は病気ではないので基本的には保険適用外となりますが、帝王切開などの医療行為が施された場合には保険が適用されます。
妊娠・出産に関わる医療費の中でも保険適応となる医療行為を行い医療費が高額になった場合には、高額療養費制度の対象となるので忘れずに申請を行いましょう。
対象となる手術・治療の例
- 帝王切開手術
- 吸引分娩
- 切迫早産
- 妊娠糖尿病
※自己負担限度額は年収によって異なるので、各自およその額をチェックしてください。
- 請求期限:診察日の翌月から2年間
- 請求場所:ご加入の健康保険組合
医療費控除
サラリーマンの方はあまり馴染みがないと思いますが、確定申告には「医療費控除」という欄があります。
これは医療費が年間10万円を超えた場合、課税所得額から税金が控除される制度です。
払いすぎていた場合はお金が戻ってくるので、出産で医療費が高額になった年には確定申告をすることをオススメします。
ちなみに、サラリーマンの夫またはご自身がサラリーマンの場合、会社の年末調整では医療費控除を行ってもらえないので、その年は自分で確定申告を提出する必要があります。
以下を参考にして、大まかな医療費を確認してみてください。
医療費控除の対象となる費用の例
- 妊婦健診代
- 入院費
- 通院時の交通費
- タクシー代(緊急時のみ)
医療費控除の計算例
(自然分娩のAさんの場合)
- 出産にかかったお金の総額65万円
- 出産育児一時金42万円
65万円 – 42万円– 10万円 =13万円
※医療費控除は10万円を超えた部分にのみ適応されるため、-10万円で計算しています。
Aさんの場合、13万円が医療費控除対象額となる⇨確定申告要
(帝王切開のBさんの場合)
- 帝王切開で出産して総額70万円
- 出産育児一時金42万円
- 高額療養費制度から10万円返金あり
- 帝王切開手術のため加入していた医療保険から10万円支給
70万円 – 42万円– 10万円− 10万円=8万円
Bさんの場合、10万円以下となるので医療費控除の対象とならない⇨確定申告不要
もちろん、妊娠出産意外にそのほかの病気や歯の治療で医療機関にかかっていた場合は、それも合算となります。
[memo title=”MEMO”]医療費控除は家族全員の分なので、旦那さんが主たる納税者の場合は、旦那さんの確定申告に合算できるよ。夫婦2人分の通常の医療費に加えて、妊娠・出産が重なると意外と10万円を超えるケースは多いので一度計算してみて![/memo]里帰り出産時の妊婦健診費用
里帰り出産先で定期妊婦検診を受診をした場合、自費で支払った医療費の助成金額部分の払い戻しを行う制度があります。
定期妊婦検診以外も、 妊婦超音波検査、妊婦子宮頸がん検査、新生児聴覚検査の費用を里帰り中に自費で支払った場合も払い戻しが可能です。
- 請求期限:分娩日から1年以内
- 請求場所:お住いの保健予防課又は保健センター
出産で保険金がおりる?!
帝王切開で出産された方
帝王切開でお産をされた方は、任意加入している医療保険や生命保険から保険金が下りる場合があります。
まず、はじめに公的医療保険の適応外である妊娠の中でも、帝王切開に関しては公的医療保険を利用できるため、医療費の自己負担は3割となります。
また先に説明した高額療養費制度の対象でもあるため、一ヶ月の医療費が高額になった場合には、この制度も利用することができます。(この制度は収入によって極度額が変わるので詳しくは厚生労働省のHPをチェック)
ただし、公的医療保険も高額療養費制度も、少人数の部屋や個室などを希望した場合の差額ベッド代・保険が適用されない部分の金額については、全額自己負担となります。
この部分の出費をカバーできるのが、任意の医療保険や生命保険です。
帝王切開は手術なので、基本的には
- 入院給付金
- 手術給付金
の2種類を受け取ることができます。
女性疾患特約を付加している場合は、さらに追加で保険金を受け取ることができます。
帝王切開手術でのお産をした方は、ご加入の保険をチェックしてみてください。
会陰部の切開をされた方
会陰部の切開・縫合は、初産ではほとんどの方が行います。
ただし、通常の会陰切開では基本的に保険金はおりません。
「手術」ではなく「分娩介助」という扱いになるからです。
[say name=”まき” img=”https://irielife.jp/wp-content/uploads/2019/12/23151B4C-27C0-402D-A29D-DE72761C3978.png”]では、どういう場合だと保険金が下りる可能性があるの?[/say]保険金が下りる可能性があるのは、切開・縫合部の範囲が広く「分娩介助」ではなく「手術」とお医者さんが認定した場合です。
病院から貰った請求書に「分娩介助料」と記載してあるか、「手術料」と記載してあるかで、保険金が降りる可能性を簡単に確認することができるので、一度チェックしてみましょう。
まとめ
国の補助があると言っても、妊娠・出産にはやはりお金がかかるものです。
順調に見えていた妊娠でも、切迫早産で早期入院となってしまったり、緊急で帝王切開になることも少なくありません。
だからこそ、赤ちゃんが生まれる前に「出産に関するお金」のことは、夫婦でしっかりと勉強しておくことが大切なのです。
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